kanon yunoki solo exhibition

建築学科出身の作家・柚木海音さんの空間シリーズ
【青い部屋の17枚】エキシビジョンがPARA神保町で開催されています。

柚木海音さんが建築を絵から先に設計してそれを繋ぎ合わせるように創り出していく。
その絵をワンカラーで描くときに、彼女は「青」で描き、設計。

青一色。
青い家を、青い絵で、実際に立ち入るところまでリアルに設計していく。

なぜ青だったのか?

どこまでも一人で集中することであったり、内面に深く潜っていき、
ひたすら内面的な感覚を空間に起こしていく。

内面的な感覚、空間の体感を積層させていくアプローチ。

とても興味深い展示です。

kanon yunoki solo exhibition
2024.5.2.thu〜5.9..thu

絵から建築をつくる

内側 内部空間のシークエンスをスケッチで何枚も何枚も描いていると、絵と絵が、そこに描かれたある部屋とある部屋とが関係をもち始める。内部空間を描いた部屋はそれだけで外の存在を想起させる。その画面の外で関係を持つように見えてくる。繋がる絵と繋がらない絵が生まれる。繋がったそれらは、同じ家の下に存在するものになる。
部屋の中の自然光の方向に加え、全ての部屋の絵はパースに沿って描かれているので奥行きや幅の数値も導かれて、位置関係やサイズが決定し、図面になったり模型になったりする。たくさんの絵の部屋たちは図面に纏められ、模型に立ち上げたとき、 初めて全体の造形を現す。”ウチ”があることは他の存在へ繋げ得る力を持つ。内的な感覚だけで空間を拡張と同時に構成させていく。 内臓から身体をつくるようにし“家”を手繰り寄せると同時に “家へ成長する。

建築を平面絵画でつくる

住む部屋によってその街の印象は変わる。 その街の印象は駅や観光施設の在り様で変わり、都市の印象は国の在り様と関係する。 一人ではない多くの人の日々の細かで膨大な経験の蓄積からの景色が集まって延長した先に、それぞれの、ときにみんなの世界が形作られていく。 建築は生きて身体がある限り、 現実でも心の内でも人の景色をつくっている。
建築空間は私たちの暮らしの中に当たり前に存在し、私たちの日々の精神にまで無意識下のうちに多大に影響している。 私たちの見るこの世界の景色と在り様を大きく決定する力を持つ。
それは極めて私たち人間の世界” をつくることをしている。
私の心の内で確かな存在をなぞり始めたとき、それを続けていったとき、 建築の造形で確かめられる。 言葉になる前の内的な感覚を探し求めていくと手癖のように空間のスケッチが貯まっていく。 スケッチ同士が共鳴し合あい、 心の内のパーツ同士で膨らんでいく。
絵画というものは、教会や宮殿の壁画から独立して 4辺が囲まれたキャンバス上の画面になってから、個人の間でも所有でき、譲渡できるようになった。 平面の画面になってからは、それぞれのときに皆の空間と精神を繋ぐ窓になった。
この17枚の平面の中に描かれた部屋たちも、現実の部屋を所有するようにこの絵画群の部屋も手にした人に渡っていく。 持ち帰った人は自自分の所有する空間の中に、 もう一つの空間を手に入れる。 場合によっては家ごと手に入れる。

柚木海音 Profile
武蔵野美術大学建築学科卒業。
建築的なアプローチを起点に、固有の情感を伴った没入を促す、構造的な絵画や絵本作品の制作をこころみる。

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