谷川俊太郎「青は遠い色」

谷川俊太郎さんの「青は遠い色」は、そのタイトルが示すように、青という色に対する詩的な思索が印象的です。この詩を通じて、青という色の持つ深遠さ、無限の広がり、そして人々に与える感覚的な影響が美しく描かれています。

青は空や海、そして遠くの山々など、自然界で広く見られる色です。これらの青は、手の届かない場所や遥か彼方にあるものを象徴しています。谷川俊太郎は、青を「遠い色」と表現することで、私たちが日常生活の中で感じる憧れや夢、そして未知への探求心を呼び起こしています。

また、青は冷静さや静けさ、そして時には孤独を感じさせる色でもあります。詩の中で、青がどのように人々の心に響き、どのように感情を揺さぶるかが描かれており、その深みのある描写は読者に強い印象を与えます。青は一見冷たく感じるかもしれませんが、その冷たさの中に潜む温かさや希望、そして内なる静けさを感じ取ることができるのです。

さらに、青は時間の流れや過去と未来を象徴する色でもあります。遠くにある青は、過去の記憶や未来への期待を喚起し、私たちに時間の流れを感じさせます。谷川俊太郎の詩は、青が持つこうした象徴的な意味を巧みに捉え、読者に時間や空間を超えた思索の旅へと誘います。

この詩を通じて、青という色が持つ多様な意味や感情を再認識し、その美しさと深遠さに改めて感嘆することでしょう。谷川俊太郎の詩「青は遠い色」は、青という色を中心に、人間の心の奥深くにある感情や思索を見事に表現した作品です。

あとがきより

好きな色はと問われると、青と答えます。思い描く青は、空の青。しかし一口に言っても限りない階調をもつ。
午後おそい丘の上のそろそろ褪せ始めた淡い青、
真昼の砂漠の稜線に区切られた目を拒むような深い青、
金色に縁取られた雲のまわりの逆光に眩しい青
多彩な青にいつも切なさに似た気持ちを覚えます。
空の青が宇宙の無に等しい無限に続いていると思うからでしょうか。
青という色というより、ひとつの心の状態とも言うべきものが、
毎日の生活とはちょっと違ったところへと、私たちをいざなったからではないでしょうか  
~谷川俊太郎〜

子供の頃から空を見ると「この青い空は地球の反対側にいる人の上にも続いている」と思い、豊かな幸せな気持ちになれました。
この青の色は、宇宙飛行士が「地球は青く輝いていた」と語るように神秘的で私たちを永遠に誘ってくれます。
不可思議で捉えがたい世に聖を受けた私たちが、安らぎを青の中に感じるのも、宇宙の神様の計らいなのかもしれない。
宇宙や魂の深い想いを表現される谷川さんの詩と、私の青の絵がともに響き合える「青は遠い色」が生まれたのも偶然とは思えないのです。
~堀本恵美子〜

【著者略歴】

谷川俊太郎
東京都生まれ。18歳頃から詩を書きはじめ、21歳のとき詩集『二十億光年の孤独』を刊行。すぐに『六十二のソネット』『愛について』『あなたに』と、とぎすまされた感性の詩集が続く。詩のほかに絵本や童話の創作・翻訳をはじめ映画やラジオのシナリオ、芝居の台本などさまざまな分野で活躍。

堀本惠美子
東京都生まれ。東京女子大学卒、武蔵野美術学園修了。青色を基調に深遠でいながら優美な数々の抽象作品を発表。近年はフランス、スペインや米国など海外でも活動する。

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