クリエイティブラボ Out of Blue、世界最高峰のCG学会「SIGGRAPH」のSPARKSで「防災インフラサウンド自然事象可視化アプリ」を発表
世界が注目するニューロダイバーシティの視点。五感を超えた「超低周波音」の可視化で災害の兆候を捉える、意匠登録出願中の独自UIを備えた次世代防災プラットフォーム「SIXTHVIEW」始動。
アートやデザインのプロジェクトを展開し、数々の国際賞を受賞しているクリエイティブラボ Out of Blue(所在地:東京都渋谷区、代表:山﨑みどり)は、世界最大級のコンピュータグラフィックス学会「SIGGRAPH(シーグラフ)」のデジタルアーツ委員会(DAC)が主催するSPARKSにて、新プロジェクト「SIXTHVIEW — Extending Senses, Capturing Voice of Earth」を発表しました。
この「SIXTHVIEW(シックスビュー)」は、インフラサウンド(超低周波音)による自然事象の早期検知を目的とした次世代のIoTプラットフォームです。観測データをリアルタイムで収集し、地理情報システム(GIS)上に可視化することで、大規模な自然災害の兆候をいち早く捉える、「防災インフラサウンド自然事象可視化アプリ」として開発されました。独自のインターフェースを備えた本アプリは、現在、意匠登録を出願中(意願2025-17470)であり、防災テックとメディアアートが融合した新たなインフラの形を提示します。
・SIXTHVIEW Project動画 : https://youtu.be/fOFV6ctzIOk
・SIXTHVIEW Project Website : https://out-of-blue.com/sixthview/
■Out of Blue代表 山﨑みどり 略歴
クリエイティブディレクター、アーティスト、リサーチャー。ロンドン・セントラル・セント・マーティンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン / MA コミュニケーションデザイン 修士課程修了。adidas、Nike、Condé Nast、Facebookなどのクリエイティブディレクター、東京大学生産技術研究所 DLX Design Lab 特任研究員を経て、マルチメディアのコミュニケーションデザイン・メディアアートを中心に活動。Japan ADC賞、NY ADC賞、A’ Design賞、TDC賞、DSA賞、SIGGRAPHなど受賞および入選多数。
・Out of Blue Website : out-of-blue.com
■SIGGRAPH デジタルアーツ委員会(DAC)主催 「SPARKS」について
セッションテーマ:Interabilities in 21st Century Arts & Technology
(21世紀のアート&テクノロジーにおける多様な能力の協働)
今回のSPARKSは、多様な特性を持つアーティストがテクノロジーを通じて社会課題にアプローチするセッションであり、「ニューロダイバーシティ(脳や神経の多様性)」を持つアーティストに焦点を当て、アートとテクノロジーを通じた「アクセシブルな社会」の構築をテーマに開催されました。セッションでは、異なる能力を持つ人々が協働する「Interabilities(相互能力)」や、人間の能力を拡張する「Prosthesis(補綴・拡張)」という概念を再定義し、多様な人々が共生できる社会の基盤をいかに築くかを議論します。Out of Blueが提案する『インフラサウンドの可視化』も、テクノロジーによって人間が本来持ち得ない能力を拡張する「Sensory Prosthesis(感覚の補綴)」を具現化した、五感を超えた新たな知覚(アクセシビリティ)の提示として注目を集めています。
・The SIGGRAPH Digital Arts Committee (DAC) 「SPARKS」

■SIXTHVIEWについて
「人間には聞こえない音」を直感的な情報へ変えるGISウェブアプリ
地球の声を聞いて、津波を感知する—。SIXTHVIEWのインスピレーションは、気象情報はデータやメディアからの情報に限られるものではないという、シンプルな気づきから生まれました。人間は本来、微妙な大気の気配を自然に体感し、察知しています。「第六感」というシンボリックなコンセプトをつかって、コミュニケーションをデザインした「SIXTHVIEW」は、自然現象によって発生するインフラサウンドを可視化する、地理情報システム(GIS)ベースのウェブアプリです。
地震、津波、火山噴火などの大規模自然災害は、人間には聞こえないインフラサウンドを発生させます。このインフラサウンドを早期検知できれば、津波などの災害警告システムとして極めて有効ですが、これまで一般市民が活用できる情報は不在でした。このインフラサウンドデータを非専門家にも分かりやすい情報へと「可視化デザイン」することで、一般市民が専門知識なしに大規模自然災害の予兆を直感的に把握し、早期検知を可能にする、防災・減災を身近にするツールとして本アプリをデザインしました。
リアルタイム可視化とスマートフォン最適化
SIXTHVIEWは、防災に関心を持つ全ての一般市民を主なターゲットとしています。IoTセンサーネットワークから収集した自然現象のインフラサウンドを、リアルタイムでGIS地図上に可視化します。この際、専門知識がない人でも自然現象の変化を直感的に把握できるよう、分かりやすい可視化デザインを採用しています。また、災害発生時にも利用しやすいよう、屋外利用のニーズに応えたスマートフォンでの操作性を重視しています。
市民参加型防災ネットワークの構築へ
日本は災害が多く、近年は異常気象への不安も高まる中、調査では一般市民の間でも、インフラサウンドデータに対する高い関心とニーズがあることが明らかになりました。SIXTHVIEWは、地域住民が主体的に自然事象情報にアクセスし、自ら安全を守る、日常的な防災・減災への貢献を目指し、市民参加型防災ネットワークの構築を促進します。これは、SDGs目標「住み続けられるまちづくりを」に向けた取り組みでもあり、地域社会全体のレジリエンス(強靭性)を高めることに貢献します。
■SIXTHVIEW Project動画
■インフラサウンド(超低周波音)について
地球が生み出す「人間には聞こえない音」
インフラサウンドは、人間の耳には聞こえない周波数20ヘルツ以下の「超低周波音」です。この音は地球から生み出されており、地震、津波、火山噴火といった災害を引き起こす地球物理学的変動に伴って発生します。大規模な現象においては、1,000kmを超える遠方まで伝搬する特性を持っています。
例えば、海底で岩盤の隆起や沈降が生じて津波が発生する際、その海水の動きが大気を振動させ、インフラサウンドが生まれます。この初期段階のインフラサウンドを観測することで、津波だけでなく、地震、火山噴火、雪崩、大規模な気象変化などの自然事象を、より早く検知することが可能となります。

低コスト・多地点観測によるリアルタイム可視化
「SIXTHVIEW」プラットフォームは、この大気中を伝搬するインフラサウンドを、IoT気圧センサーと協力者の公共Wi-Fiや自宅回線等を活用し、低コストかつ多地点でリアルタイムに取得します。取得した観測データは可視化デザインが施され、地理情報システム(GIS)上に表示されます。これにより、リアルタイムの自然事象の変化を視覚的に認識し、早期警戒に役立てることが可能となります。
研究機関の連携と観測網の強化
災害検知の精度向上と観測対象の拡大を目指し、2019年には、全国でインフラサウンド観測を行う研究機関や大学とともに「インフラサウンド研究コンソーシアム」が発足し、全国の観測地点は約100カ所に達しています。インフラサウンドをテーマとする研究者が互いに連携し、データを共有することで、研究の飛躍的な進展と、災害早期検知精度の向上に貢献しています。

■インフラサウンドの可視化デザインおよびUXデザインについて
デザイン思考と人間中心設計による可視化の実現
「SIXTHVIEW」は、デザイン思考のプロセスを導入し、テクノロジー主導ではなく「人間中心の設計(ヒューマンセントリックデザイン)」を貫いています。開発にあたっては、一般市民に対してインフラサウンドデータのニーズ調査を徹底して行い、求められるユーザー体験(UX)を定義しました。その結果、非専門家でも直感的に理解できる可視化デザインに加え、色覚に配慮したユニバーサルデザインを融合させています。本取り組みについては、日本災害情報学会において研究論文の掲載が決定しています。


自然を察知する感覚を磨き、防災意識を高める
実際に高知工科大学にて研究を進める中で、高知県の豊かな自然の中で暮らし、得られた気づきや実感が、SIXTHVIEWのデザインへと昇華されています。このように、自然現象から発生するインフラサウンドを可視化することで、人々が自然の変化により意識を向けるきっかけを提供し、人間が本来持つ感覚を磨くことが、防災・減災意識のさらなる向上につながると考えています。
学際的なエマージングテクノロジーとしての期待と今後の展望
本プロジェクトは、既に地球惑星科学分野の学術団体「日本地球惑星科学連合(JpGU)」や、コンピュータグラフィックスの国際会議「SIGGRAPH」、高知みらい科学館などで発表されており、学際的なエマージングテクノロジーとして高い期待を寄せられています。今後はさらに、リアルタイム観測データを活用し、自然事象に対する感覚を触発するアート作品の発表など、従来の気象情報とは異なるアプローチによるコミュニケーションも展開していく予定です。

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