Interview 第23回 梅花堂紙業 佐野博政さん

THE BLUE Spirits インタビュー第23回は、創業1923年(大正12年)、梱包材・緩衝材の設計・製造で100年の歴史を刻んできた梅花堂紙業株式会社、その四代目代表取締役、佐野博政さんです。
佐野さんは「無類の青好き」であり、常に新しいことに挑み続けるイノベーターでもあります。
同社が新ブランドとしてリリースした【Dear me】。「本当は、Dear me のカラーも青にしたかったんですけどね」。そう話す佐野さんが、5年もの歳月をかけて世に送り出したのが、新ブランド「Dear me/Re:Life food(ディアミー / リライフフード)」の「たんぱくキューブ®」です。
なぜ、老舗パッケージ企業が「食」の世界へ足を踏み入れたのでしょうか?
そこには、一人の社員を大切に想う気持ちと、業界全体を見据えた経営としての判断がありました。

経営とは、生きることそのもの

佐野さん 梅花堂の創業は1923年。私は四代目として、父から事業を引き継ぎました。もっとも、それ以前は世襲ではありません。父は新潟の出身で、丁稚奉公から歩みを始め、努力を重ねて事業を継承し、三代目となりました。
私は梅花堂に生まれ、二代目の鈴木春夫さんを祖父のような存在として身近に感じながら育ちました。子どもの頃はよく叱られていましたが、私が高校二年生の頃、鈴木さんがガンを患い、お見舞いに行った際に「いつか頼むぞ」と声をかけられました。その言葉が、心のどこかに残り続けていたのだと思います。
大学卒業後は建築系の会社に就職しましたが、やがて父から事業を継承することになりました。

当初は経営のことも分からず、社員が次々と退職してしまう苦しい時期もありました。そんな中でMBAの知識を学び始め、次第にさまざまな挑戦をしたいという思いが芽生えていきました。MBAの考え方は非常にシンプルで、本質はリスク回避にあります。「こうすれば失敗する」という知見は数多くありますが、「こうすれば必ず成功する」という答えは誰にも分かりません。だからこそ、トライアンドエラーを重ねながら模索し続けるしかないのです。

私にとって経営とは、生きることそのものです。いかに生き残り続けるか、どう積み上げていくか。体力を養い、器を広げ、チャンスをつかむ――
そうした問いに向き合いながら、今日まで歩んできました。

私たちはパッケージ業界に身を置いています。パッケージの成長は、中身であるお客様の成長なしには成り立ちません。お客様が伸びれば、私たちも伸びる。そのため、常にお客様の発展につながる価値を見つけ続ける必要があります。
もちろん、お客様の要望に真摯に応え、より良いものづくりに全力を尽くしてきました。しかし最終的に「それで、いくら安くなるのか」と問われることも多く、そこに大きな苦しさを感じてきたのも事実です。

だからこそ、この業界にいる自分たちが、価格を主体的にコントロールできる商品を持たなければならない――
そう考え、自社ブランドを立ち上げたいという思いが芽生えました。

ちょうどその頃、女性社員から食物アレルギーの悩みを聞きました。彼女は口にできる食品が限られており、安心して食べられるものがほとんどありません。それならば、彼女が心から安心して食べられるものを自分たちでつくろう。その想いから生まれたのが、この商品なのです。

「わたしを、いたわる」という選択肢を。 女性の心とからだに寄り添う新ブランド 「Dear me/Re:Life food(ディアミー リライフフード)」 誕生

コンセプトは「がんばることが当たり前になっている、すべての女性たちへ。 “いたわる”という選択肢を、そっと差し出したい」そんな想いから新たな食品ブランド 「Dear me/Re:Life food(ディアミー リライフフード)」を立ち上げました。
ブランド第一弾商品として「たんぱくキューブⓇ【非加熱製造】」が1月20日より発売がスタートしました。

開発のきっかけ:重いアレルギーに悩む女性社員の声

佐野さん 新ブランド「Dear me」の誕生は、ある女性社員の切実な悩みから始まりました。 「彼女は物心ついた頃から重い食物アレルギーを抱えていて、肌の症状で洋服も着られないほど辛い経験をしていました。食べられるものが少なく、体重が激減してしまったこともあったんです」。
『信頼できて、本当においしいものを彼女に届けたい』。その想いが、パッケージ企業の枠を超えた挑戦となりました。

佐野さん 開発が決まり、管理栄養士の方々とともに試作と検討を重ねる中で、アレルギーの種類が非常に幅広いことをあらためて実感しました。
そこでまずは、マタニティの方にも安心して食べていただける食品を目指すところから、開発をスタートさせました。
その過程で出会ったのが、アレルギー研究を専門とする山梨大学の三宅先生です。山梨県は、日本で最も花粉症の有病率が高い地域の一つとされていて、その背景から、山梨大学にはアレルギー課題の解決に取り組む使命がありました。
三宅先生もまた、「どうすればアレルギーに強い体をつくれるのか」「どのようにすればアレルギーを根本から改善できるのか」というテーマを長年研究されてきました。
その研究の中で明らかになってきたのが、腸内環境を整えることの重要性です。そして腸内環境の改善には、食物繊維とたんぱく質が極めて重要であることが分かりました。
そこで、「アレルギーを抱える方々が、安心して手に取りたくなる商品を自分たちで開発しよう」
――その想いが、すべての始まりとなったのです。

さらに、助産師や看護師の方々にも加わっていただき、幾度となく試作を重ねました。開発当初は、専門家チームから「こんなに甘いお菓子のようなものではだめです」と、厳しい指摘を受けることも少なくありませんでした。
そこから方向性を見直し、より自然な味わいを追求する中で、野菜由来のやさしい風味へとたどり着きました。
添加物は一切使用せず、大豆を原料としたきなこ、そしてスーパーフードとも称される抹茶など、自然素材そのものの力を活かす道を選びました。
試行錯誤の末、抹茶・ココア・黒ごまにきなこを加えることで、おいしさと栄養バランスの両立を実現することができました。この試作品を山梨大学へ持参したところ、「これは良いですね」と高く評価していただき、ついに商品化が決定しました。

実は、商品のパッケージも私が設計しています。「輸送中に開かず、かつ開けやすく、さらに開封後も再利用できる」という、老舗の設計力が細部に宿っています。

心を落ち着かせる「青」

佐野さんが事業を進めていく中で、大事にしていることをお聞きしてみました。

佐野さん 弊社の理念は「勇気・熱意・感謝で、感動を追究します」です。
私は、理念とはすなわち自分自身そのものだと思っています。
言い換えれば、私は「歩く理念」(笑)。
それは、どんな出来事からも逃げず、常に自分と向き合い続けるという姿勢を持つこと。
これまでにもさまざまな出来事がありましたが、そこから目を背ければ、問題は形を変えて再び現れます。
しかし、真正面から乗り越えたとき、その問題は解決し、もはや大きなものではなくなります。成長とは、きっとそういうものなのだと思います。

そうした出来事に直面したとき、私を癒してくれるのが「青」なんです。
青い空間の中にいると、心が落ち着きます。だから、自分の車の車内を青くして、そこに身を置くと、落ち着けるのです。

経営者は常に表に立ち、すべての責任を背負います。社員のミスであっても、その社員を採用し、配置したのは自分です。だからこそ最終的な責任は、すべて自分にあります。
社員が懸命に取り組んでくれていることへの感謝はありながらも、時には感情が揺れることもあります。
それでも、自分自身の心が整っていなければ、次の一歩へ進むことはできません。だからこそ、心を落ち着かせ、リセットできる空間の存在はとても大切です。私にとって「青」は、決して欠かすことのできないものなのです。

伝統工芸と設計力の融合――家具ブランド「BAIKADO」の挑戦

佐野さんの「設計する力」は、パッケージに留まらず、空間を彩る家具の領域へと広がっています。それが、飛騨高山の職人技術と自社の設計思想を融合させたブランド「BAIKADO(四季折々)」です。

佐野さん この事業の背景には、技術継承に悩む高山の職人たちを助けたいという想いがありました。日本の職人技は、単なる『Made in Japan』ではなく、世界に誇るべき『日本文化』そのもの。彼らの顔が見える世界を作りたいんです。

風禅-Fu-zen-

圧倒的なこだわりが宿る、売れ筋の「青いソファ」

ブランドの中でも、特に佐野さんの魂が込められ、売れ筋となっているのが最高級ソファ「風禅-Fu-zen-」です。
ここでも「青」へのこだわりが発揮されています。

佐野さん 周囲からは黒などを勧められましたが、絶対に青だと譲りませんでした。最高級の皮をわざわざ青く染め上げ、日本の伝統紋様である『青海波(せいがいは)』を施したんです。
青海波は、私が最も愛する模様の一つです。落ち着きと品格、そして日本らしさが凝縮されたこの青いソファは、まさにブランドの顔。これを前面に押し出すことで、独自の価値を表現しています。

風禅 2s ソファ 楢(ナラ) 倉敷帆布/川善レザー

継承と挑戦で描く、100年企業の未来

パッケージという「守る」技術から、プロテインという「食」、そして家具という「住」へ。一見バラバラに見える事業は、佐野さんの中ですべてが繋がっています。

佐野さん 家具のような耐久財は世界に文化を届けるもの。一方で、プロテインのような消費財は日々お客様の心身を支えるもの。この両輪があるからこそ、企業としての生命力が保たれるんです。
今後は、これらの事業を通じて「プラスのスパイラル」としてのハブとなり、協力会社や地域社会と共に成長していくことを目指しています。

私は、会社を自分一人のものだとは考えていません。
会社とは、次の世代へと受け継いでいくものだと思っています。
それは、新たな産業を生み出していく力にあります。
産業を創出できなければ、真の成長戦略を描くことはできません。そのために必要なのは、どれだけ大きな価値を社会に提供できるか。そして同時に、価値を生み出せる自分たちへと成長し続けることです。

関わる人々もまた、ともに強くなっていく。自分も周囲も一緒に成長していく。
そんな前向きなスパイラルを生み出す関係性を築いていきたいと考えています。
そのためには、土台を広げることが欠かせません。裾野を大きくしなければ、高みへは到達できないからです。
社会に貢献し、一人ひとりのためになる価値を提供し続けること。そうして価値を丁寧に積み上げていきたいのです。
もちろん、その前提にあるのは自分たち自身の成長です。共に成長していく仲間を集め、持続的な価値を生み出していく。それが実現できれば、関わるすべての人が幸せになれるはずです。
さらに、世の中の変化に柔軟に対応できる力を高め、挑戦し続ける仲間の輪を広げていく。
その中心に私たちが立ち、ハブとして機能することで、必ず社会への貢献につながっていくと信じています。
企業とは、本来、投資と回収を循環させる経済活動です。
その健全な循環をより大きく広げていくこと――
それを私たち自身が実現し、その中心的な存在でありたいと思います。

「Dear me/Re:Life food(ディアミー リライフフード)」

【ブランドメッセージ】
「Dear me/Re:Life food」は、“がんばること”が日常になっている全ての女性に、“いたわること”を思い出してもらうためのブランドです。日々の中で、ほんの少し立ち止まって、自分自身にやさしくする時間を持つこと。
そのきっかけを、食を通じて伝えていきます。Re:Life foodは「食事を整えることは、生き方を整えること」という想いから生まれた、新しい食のかたちです。

~罪悪感のない、間食たんぱく質を~
ブランドの第一歩として、2026年1月20日より発売されたのが、「たんぱくキューブⓇ【非加熱製造】(たんぱくバーⓇ)」です。
グルテンフリー、香料不使用、アガベシロップのやさしい甘さ。ココアやきなこ等の素朴な風味がほっとする時間を演出します。1袋(3個入り)で、たんぱく質平均8.7g/食物繊維平均3.9g/マグネシウム平均32mgを摂取でき、忙しい朝のプラス一品として小腹が空いたときの間食など、手軽に栄養補給が可能です。非加熱製造にこだわることで、素材本来の風味と栄養をそのままに。からだにやさしく、心にもやさしい、そんな“ひとくち”を目指しました。第一弾を手始めに、今後は第二弾以降も展開していく構想です。

【商品特徴】
・非加熱製造でたんぱく質を壊さない
・管理栄養士が原材料を厳選・レシピ開発
・山梨大学 三宅准教授監修/りんくう総合医療センター 循環器内科 部長 増田先生監修
・グルテンフリー/アガベシロップ使用/香料不使用
・多様な栄養素をバランスよく配合

【商品情報】
・商品名:たんぱくキューブⓇ【非加熱製造】(たんぱくバーⓇ)
・内容量:3個入り
・商品ラインナップ:抹茶きなこ/ココアきなこ/黒ごまきなこ
・特徴:グルテンフリー/アガベシロップ使用/香料不使用/
・栄養成分(3個あたり)
 たんぱく質平均8.7g、食物繊維平均3.9g、マグネシウム平均32mg (推定値)
 ※抹茶きなこ・ココアきなこ・黒ごまきなこの平均値
・発売日:2026年1月20日

・販売方法:公式オンラインストアにて販売予定
・オンラインストア: https://dear-me.nagoya/

・店舗:Tokyo Family Marche有明ガーデン店にて取り扱い予定
 〒135-0063 東京都江東区有明2−1有明ガーデン モール4F TEL:03-4400-0483
 営業時間:月-金曜 10:00~19:00/土-日曜 10:00~21:00

・公式LINE:https://lin.ee/II8F8X4
・公式 Instagram : https://www.instagram.com/dear_me_nagoya/

※本商品は一般的な食品(たんぱくバーⓇ)として開発されたものであり、医薬品・医薬部外品・サプリメントではありません。特定の効能・効果、治療や予防を目的とした表現は行っておりません。

常に「ベンチャー精神」で新しいことにチャレンジし続ける
梅花堂紙業株式会社
代表取締役 佐野 博政

愛知県名古屋市出身。
大学を卒業後、大和工商リース(現・大和ハウスグループ)に入社。阪神淡路大震災での経験を経て、家業の「梅花堂紙業」へ転職。父の急逝を受け、リーマンショックの直前の2007年、社長に就任。経営を学ぶためにMBA取得を決意し、2013年にグロービス経営大学院で学ぶ。梅花堂紙業株式会社では物流・防災・食品・デザインの分野へ越境する多角的な展開。「ワクワク・面白い・誰もやってない」に挑む、探究心と成長意欲に満ちた社風で100年企業としての「変化対応力・巻き込み力・生命力」を武器に、梅花堂紙業株式会社の四代目代表取締役として、事業を牽引。また、フィジーカーとして自ら体を張って食の勉強やプロテインバーの自社製造を行う。

梅花堂紙業株式会社
https://www.baikado-shigyo.co.jp/

BAIKADO(家具)
https://baikado.jp/