青継ぎと坐禅体験

三橋鎌幽氏総監修「金継ぎ青柳」
オリジナル・モダンな青継ぎと坐禅体験 に参加してきました。
今回はそのレポートです!

目次

そもそも金継ぎとは?

金継ぎは日本の伝統的な陶磁器修復技法。壊れた陶磁器を漆と金粉で修復する方法を指します。
物が壊れた際にそれを捨てるのではなく、美しく修復し、再び使うことに価値を見出す哲学に基づいています。

〜歴史〜
金継ぎの起源は、15世紀の日本にさかのぼります。時の将軍、足利義政が中国から輸入した茶碗を割ってしまい、修復を命じたのが始まりとされています。当初、茶碗は鉄の留め金で修復されましたが、美的に優れた方法を求めた結果、漆と金粉を使った金継ぎが誕生しました。この技法は、特に茶道の世界で重宝されました。茶道では、物の不完全さや欠けた部分に美を見出す精神があり、金継ぎはその精神を具現化したものとされます。

〜哲学〜
金継ぎの哲学は「不完全さの美」に根ざしています。物が壊れることを否定せず、その壊れた部分を金や銀などの貴金属で修復することで、新たな美しさを与えます。この考え方は、日本の「侘び寂び(わびさび)」の美意識とも深く関連しています。侘び寂びは、時間の経過や不完全さ、自然の変化を受け入れ、それを美として捉える考え方です。金継ぎは、物が壊れた経験や歴史を尊重し、その上に新しい価値を築くことを象徴しています。

金継ぎは、物が壊れても、それが終わりではなく、新たな始まりであることを教えてくれる技法でもあります。

なぜ青継ぎなのか

三橋鎌幽氏は青い海と空に育まれ、幼少の頃より彫刻を学び、海と空から感性を学び、伝統の鎌倉彫にブルーなど今までにない色漆を使い、「緻密な彫刻技法」で作品を表現しています。
「青継ぎ」は商標登録されているそうで、彼独自の表現が金継ぎの世界観にも反映されています。

三橋鎌幽氏曰く、『青は人類が求めた色』

今回、自然由来の色と、人工の青い顔料を数種類用意してくれましたが、自然由来の青は、乾いた時に黒くなってしまう。思ったような青にならない。これが自然由来の限界です。
逆にいうと、だからこそ世界の人たちは青の顔料を人間が人工で開発をする、ということが中世からずっとおこなわれてきているのです。

また、青については、三橋鎌幽氏からこんなお話がありました。
「私の作品で青の個展をやっていると、『私、この青が好きです』と言われることがあります。
みなさんも好きな青があるはずです。どの青が好きか、というので、話せる色は他にはなかなかない。
どの赤が好きって話したことありますか?でもおそらく『どの青が好き』は話したことがあるはずです。
いわゆる、それぞれが、それぞれの好きな青を持った上で『青いいね』という感覚になっていると思います」

開催場所の鎌倉・点心庵のこと

会場は、建長寺の隣にある点心庵でした。
建長寺は、日本で最初の禅宗専門道場としての役割を果たしてきました。


点心庵の特徴の一つに、美しい丸窓があります。
この丸窓は「円窓」と呼ばれ、禅の世界では非常に象徴的な存在です。
円窓から見える景色は、まるで一幅の絵画のようであり、四季折々の自然の変化を楽しむことができます。
円窓は禅の「円通」、すなわちすべてが一体であるという教えを象徴しており、見る人に深い感動を与えます。

茶禅一味とは
茶道と禅道は、その形や作用は異なるものではあるが、その本質は別なものではなく、人間形成の道という観点から見れば、両者は同じであるという説があります。
弊店では、日本の禅宗の草分けである建長寺様の門前で、茶道のほんの入り口である抹茶を頂くこと、そして、禅宗の基本である坐禅を少しだけでも体験し知っていただければと考えております。この機会をきっかけに、茶道や坐禅にご興味持って戴ければ幸甚に存じます。
(点心庵HPより引用)


また、点心庵には三橋鎌幽氏の作品の一部が展示されています。

坐禅禅体験

青継ぎをする前に、坐禅が行われました。
三橋鎌幽氏曰く『日常から自分を非日常に切り離す』こと。
「連続している時間を一度切ってから、金継ぎを体験してほしい」。それが目的だと話します。

彼自身も制作に入っていく時に、わかりやすくいうとゲートをくぐる感覚と表現していましたが、自分の世界だけに落ちるときに、坐禅的なことをする。日常から切り離して、そこに入るそうです。

坐禅をするのは、無になるということではなく、お坊さんたちは毎日決まった時間に座ることで、今日はこういうふうになった、昨日はこうだったのに今日はこうっだった、というような自分の心の動きを感じること。
出てきたものを、自分がどう思っているのか。
心が動いていること、自分はこう思っているんだな、ということをわかることがとても大事、とおっしゃっていました。

青継ぎ体験

そしていよいよ青継ぎです。
今回は、漆は使用せず、その工程をわかりやすい形で再現してくれました。

①割れた器を【継ぐ】
②【研ぐ】
③【塗り】
④【蒔き】

「壊れたからこそ、美しく」
壊れた瞬間が新たな未来を開く。 金継ぎは単なる修復技法を超え、壊れた物に新たな命を吹き込む日本の伝統です。
この技法は、 見えない価値を再発見させ、不完全な中に隠された深い美を映し出します。 壊れたものを大切にすることで、新たな美の始まりを迎え、持続可能な未来を築く一歩となります。
(テキストより引用)

次回開催は8月5日(月)12:30〜14:00
詳細はこちらから
https://otonami.jp/experiences/niyodo-6aotsugi/

鎌倉は今、蓮の花も咲き始めています。
ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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